仕事の大半がパソコン上で行われる今、労働時間の使われ方を把握したいとき、情報漏洩が心配なとき、プロジェクトが遅れる理由を知りたいとき、管理者がまず目を向けるのは社員のパソコンです。監視ソフト(モニタリングツール)はこうした疑問に答えてくれますが、目的やルールを決めず、社員への説明もないまま導入すると、かえって新たな問題を生みます。

本記事では、会社のパソコンで何を記録できるのか、日本の法律(個人情報保護法や就業規則の手続き)で何が求められるのかを整理したうえで、社員が理解し、納得できる形でモニタリングを導入するための6つのステップを解説します。

まずは結論
社員のパソコンを正しくモニタリングする6つのステップ:
ステップ1
目的を決める
生産性、勤怠、情報セキュリティ、コンプライアンス
ステップ2
法律を確認する
個人情報保護法と就業規則の手続き
ステップ3
ルールを文書化する
何を、いつ、なぜ記録し、誰が見るのか
ステップ4
社員に伝える
書面で通知し、質問に答える時間を設ける
ステップ5
小さく始める
目的に必要な最小限のデータで試験導入
ステップ6
データを公正に使う
監視ではなく、傾向の把握と改善に

会社のパソコンで監視・記録できること

モニタリングツールが収集するデータの種類はさまざまです。詳細なデータほど、収集する理由もより明確でなければなりません。

記録する内容わかること主な用途プライバシーへの影響
勤務時間、稼働時間、離席時間始業・終業の時刻と休憩勤怠管理、タイムシート、業務量の把握低
アプリと Web サイトどのソフトやサイトを、どれくらいの時間使ったか生産性の傾向、ソフトウェアライセンスの管理中
スクリーンショット一定間隔で撮影した画面作業状況の確認、トラブル時の事実確認高
ライブ画面表示と画面録画リアルタイムの画面または動画研修、サポート、調査高
キー入力(キーロガー)私的なメッセージを含む、入力したすべての内容セキュリティ調査以外で正当化できる場面はまれ非常に高
ファイル、USB、メール(DLP)社外に持ち出されるデータ機密情報の保護、情報漏洩対策中~高

社員のパソコンを監視するのは違法?

多くの国では、会社が支給したパソコンを対象に、正当な業務上の目的があり、社員に知らせていれば、モニタリングは認められます。ただし、詳しいルールは国や地域によって異なります。

日本
日本には従業員のモニタリングだけを定めた法律はありませんが、ログやスクリーンショットは個人情報に当たり得るため、個人情報保護法に沿って利用目的を特定し、本人に通知または公表する必要があります。個人情報保護委員会は、目的を社内規程等に定めて従業員に明示すること、責任者を決めてルールどおりの運用を確認することを挙げ、労働組合等への通知と必要に応じた協議が望ましいとしています。ルールを就業規則に定める場合、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴いて労働基準監督署に届け出て、従業員に周知します。裁判例は社会通念上相当な範囲を逸脱していないかという枠組みで判断しており、EU 域内で働く社員がいる場合は、GDPR の要件も確認してください。
その他の国・地域
EU と英国では、GDPR と UK GDPR のもとで適法な根拠が必要とされ、モニタリングは必要かつ相応な範囲にとどめ、何をなぜ収集するのかを従業員に知らせなければなりません。米国では、ニューヨーク州、コネチカット州、デラウェア州など一部の州が、電子的モニタリングについて書面での通知を義務付けています。コネチカット州では、より厳しいルールが2026年10月1日に施行されました。
どこの国でも避けるべきこと
  • 明確な合意がないまま、社員の私物の端末や個人アカウントを監視すること
  • 「念のため」の隠れた監視
  • 勤怠管理が目的なのにキー入力まで記録するなど、目的を超えたデータの収集
  • 録画データを無期限に保存したり、誰でも閲覧できる状態にしたりすること

※このセクションは一般的な情報の概要であり、法的助言ではありません。法令は改正されることがあるため、最新の要件は弁護士や社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

社員のパソコンを監視する方法:6つのステップ

1. 解決したい課題を決める

「社員が一日中何をしているか見たい」は目的ではありません。「午後になるとサポート対応に時間がかかる理由を知りたい」「顧客データが USB メモリで持ち出されないようにしたい」なら目的です。目的が明確になれば、何を記録すべきか、そして何を記録しなくてよいかが見えてきます。

2. 社員が働く場所のルールを確認する

上で紹介した日本のルールを出発点にしてください。個人情報保護法の手続きに加え、就業規則を変更する場合は意見聴取と届出が必要です。海外拠点やテレワークで働く社員には、本社とは異なる現地のルールが適用される場合があります。

3. モニタリング規程を作る

短く、具体的にまとめましょう:

何を、いつ
収集するデータの種類、対象の端末、勤務時間内に限ること
なぜ
データの種類ごとの業務上の目的
誰が見るのか
「管理職」ではなく、具体的な役職・担当者
保存期間
決まった保存期間と安全な削除方法
私的利用
会社のパソコンや休憩時間に認められること
社員の権利
自分のデータを確認する方法と、意見や懸念を伝える窓口

4. 導入前に社員へ伝える

規程を書面で共有し、必要に応じて確認の署名をもらい、導入の理由を直接説明しましょう。モニタリングの範囲と限界がわかれば、社員ははるかに受け入れやすくなります。進め方は従業員へのモニタリングの伝え方で詳しく解説しています。

5. 最も負担の少ない設定から始める

まずは勤務時間、稼働時間、アプリと Web サイトのカテゴリから始めます。スクリーンショットや画面録画は、必要性を説明できる職種や状況に限って追加しましょう。1つのチームで短期間の試験導入を行い、調整してから全社に展開します。

6. データは人を取り締まるためでなく、業務改善に使う

まずはチーム全体の傾向を見ましょう。業務が集中している役割、作業を遅らせているツール、午後の時間を奪っている会議などです。個人のデータについては個別に話し合い、社員が自分のレポートを確認できるようにします。業務量の改善につながるモニタリングは信頼を築きますが、ミスを見つけるためだけのモニタリングは信頼を壊します。

パソコン監視ソフトの選び方

機能の多さではなく、目的に合ったツールを選びましょう。多くの中小企業にとって重要なポイントは次のとおりです:

記録内容を調整できる
チームごとにデータの種類をオン・オフできる
わかりやすいレポート
数分で改善につなげられる傾向が見える
オフィスとテレワークの両方
すべての拠点を1つのクラウドダッシュボードで
アクセス権限の管理
誰がどのデータを見られるかを決められる
明確な料金体系
チームの規模に合わない最低ライセンス数がない
無料トライアル
契約前に試験導入で試せる

CleverControl

1台あたり月額5.30ドル~ 無料トライアルあり Windows · macOS

当社のツールで、勤怠・労働時間の記録と、会社のパソコンの使われ方(アプリ、Web サイト、稼働時間と離席時間、スクリーンショット、ライブ画面表示)を、オフィス勤務、テレワーク、ハイブリッド勤務のチーム向けに1つの Web ダッシュボードで確認できます。

✓ メリット
  • 生産性の把握と PC アクティビティの確認を1つのツールで
  • Web サイトのブロックと一元化されたレポート
  • PC の台数単位の料金体系で、共有パソコンにも便利
✕ デメリット
  • 給与計算、請求書発行、プロジェクト単位の請求の機能は内蔵していない
  • ライブモニタリングと画面録画には Pro プランが必要

料金:Standard プランは、5台・12か月プランの場合で1台あたり月額5.30ドルからです。30台以上で20%、100台以上で30%の割引があります。最新の料金を確認する。

そのほかの選択肢

ActivTrak
チーム単位の生産性分析ツールです。3ユーザーまで無料、有料プランは年間契約・最低5ライセンスで、1ユーザーあたり月額10ドルからです。
Hubstaff
テレワークや現場作業のチーム向けの時間記録ツールです。タイマーの作動中にアクティビティを記録します。年払いで1ライセンスあたり月額4.99ドルから、14日間のトライアルがあります。
Teramind
内部不正リスクの検知や DLP(データ損失防止)の機能を備えた、セキュリティ重視のモニタリングツールです。年払いで1ライセンスあたり月額14ドルから、最低5ライセンスです。

製品を並べて詳しく比較したい場合は、おすすめの社員監視ソフトと中小企業向けのおすすめ製品をご覧ください。

よくある失敗

初日からすべてを記録する
データが増えるほど、リスクもノイズも増えます。データの種類は、必要になったときに追加しましょう。
アクティビティの数値で人を評価する
考えごと、電話、資料の読み込みは「離席」に見えることがあります。アクティビティのデータは実際の成果とあわせて判断しましょう。
社員との対話を省く
規程を添付したメールだけでは不十分です。理由を説明し、質問に答えましょう。
データの管理を忘れる
最初のスクリーンショットを撮る前に、保存期間とアクセス権限を決めておきましょう。

まとめ

監視するのは会社のパソコンを、明確な目的のもと、勤務時間内に。
伝えるのは何を記録し、なぜ記録し、誰が見るのかを、書面で。
集めるのは目的に必要な最小限のデータだけ。
活かすのは細かな管理ではなく、業務量とプロセスの改善に。

どこまでが許されるのかについては、従業員モニタリングの倫理的な境界線もあわせてお読みください。

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