従業員のパフォーマンスは、競争力を維持したい企業にとって重要な基盤です。高いパフォーマンスを発揮する従業員は、収益や顧客満足度の向上に貢献し、企業の良好なイメージづくりにもつながります。
従業員のパフォーマンスをモニタリングすることは、一人ひとりの貢献度を把握し、改善すべき点を見つけ、優れた成果を上げている従業員を適切に評価するために重要です。生産性を支援するためのタイムリーな対応は、従業員と企業双方の可能性を最大限に引き出すことにつながります。しかし、「パフォーマンス」は幅広い概念であり、その意味は企業、業界、職種によって異なります。では、管理者は何を評価し、どのように測定すればよいのでしょうか。本記事で詳しく解説します。
従業員のパフォーマンスはどのように測定する?
一般的に、従業員のパフォーマンスは、仕事の品質、効率、量という観点から評価されます。
品質
仕事の品質を評価するには、従業員の成果が期待値や業界・社内基準を満たしているかを確認します。設定された目標を達成しているか、業務に十分な能力を発揮しているかも重要です。業界や職種によって異なりますが、品質に関する指標には次のようなものがあります。
- 顧客満足度:従業員の仕事に顧客がどの程度満足しているか、問い合わせに適切かつ迅速に対応しているか、行動規範を守っているかなど。
- チームワークと協力:他のメンバーと円滑に協力し、チームの目標達成に貢献し、同僚をサポートできているか。
- 主体性:新しい仕事に取り組み、新しいアイデアを提案し、自ら問題を解決できるか。
- 適応力:状況の変化や新しい課題に柔軟に対応できるか。
- コミュニケーション:同僚、顧客、管理者と効果的に意思疎通できるか。
量
量とは、従業員が生み出した成果の数を意味します。一見すると製造業だけに適した指標のように思えますが、実際には販売件数、完了したプロジェクト数、対応した電話件数など、形のない成果にも適用できます。
効率
効率は、業務をどれだけ迅速かつ効果的に完了できたかを測る指標です。例えば、製品1個当たりの作業時間やカスタマーサービスの応答時間などが該当します。品質を損なうことなく期限を守ることや、目標を達成するために効率的な方法を選択することも含まれます。効率は、次のような指標で測定できます。
- 1時間、1日、1か月当たりの生産数または完了タスク数
- 機械のダウンタイム ― メンテナンス、故障、その他の理由で設備が稼働していない時間
- 材料の使用量と廃棄量
- サイクルタイム ― プロセスの開始から完了までにかかる時間
- 単位当たりの欠陥数やエラー数
エンゲージメント
現在では、従来のパフォーマンス指標だけでなく、従業員のウェルビーイングやエンゲージメントを重視する企業も増えています。エンゲージメントが低い状態は、生産性、欠勤、チーム内の協力、顧客対応などにも影響する可能性があります。日本では、Gallupの日本特集レポートによると、仕事にエンゲージしている従業員はわずか7%とされています。この数字からも、パフォーマンスを考える際にエンゲージメントを無視できないことが分かります。
エンゲージメントを測定する際、管理者は次のような項目を確認できます。
- 仕事全般に対する満足度
- ワークライフバランスに対する満足度
- 社内での成長やキャリア機会に対する認識
- 企業文化に対する満足度
- 自己都合・会社都合による離職率
- 欠勤率
その他のパフォーマンス指標
量、品質、効率、エンゲージメントに加えて、パフォーマンスに影響する可能性のある行動面の指標も確認するとよいでしょう。
- 仕事に対する姿勢:仕事への献身、責任感、プロ意識。
- 勤怠と時間厳守:勤務スケジュールを守り、安定して勤務しているか。
- コンプライアンス:社内ポリシー、手順、規則を遵守しているか。

従業員のパフォーマンスをモニタリングする6つの方法
定期的な人事評価
人事評価とは、あらかじめ設定した目標や期待値に対して、従業員のパフォーマンスを体系的に評価するプロセスです。成果について話し合い、改善点を明らかにし、新たな目標を設定する良い機会になります。
人事評価には十分な準備が必要です。まず、職務上の責任と期待される成果を明確にし、具体的で測定可能な目標を設定します。一定期間にわたって従業員のパフォーマンスを確認し、定量的・定性的な指標を収集します。管理者、同僚、顧客などからのフィードバックも、パフォーマンスを総合的に理解するための有益な情報になります。
評価面談では、率直に話し合える環境をつくることが重要です。良かった点を認めるとともに、改善が必要な部分について建設的なフィードバックを提供します。具体的な事例を示しながら説明し、従業員自身の考えや懸念にも耳を傾けましょう。最後に、課題や改善すべき点に対応するための計画を作成します。
人事評価は、定期的かつ体系的に実施することで、より有効に活用できます。しかし日本の中小企業では、まだ制度化されていないケースも少なくありません。2025年版中小企業白書によると、明確で公正な人事評価制度を設けている事業者は全体の約4割です。一方、従業員数が30人を超える企業では、その割合は半数を上回ります。
個別チェックイン
年に一度の評価だけでは、日々の課題や変化を十分に把握できない場合があります。日本で実施されたリクルートの調査では、上司から仕事の良い点や改善すべき点についてフィードバックを受けている人は、それぞれ5割半ばから約6割でした。定期的なチェックインは、正式な人事評価の間を補い、仕事の状況を継続的に把握する方法として役立ちます。
人事評価が過去の成果を中心に比較的長い期間を振り返るのに対し、チェックインは日常的なコミュニケーションを維持し、仕事が適切に進んでいるかを確認することを目的とします。通常は週1回や隔週など、より頻繁かつ非公式に行われます。特定のプロジェクトや日々の業務について話し合い、必要なサポートをタイムリーに提供できます。
従業員モニタリングソフトウェア
従業員モニタリングソフトウェアは、パフォーマンスを把握するための有効なツールの一つです。業務用コンピューターの利用状況に関するデータを収集し、勤務時間がどのように使われているか、会社のリソースがどのように利用されているかを確認できます。また、社内ポリシーの遵守やセキュリティ強化にも役立ちます。
従業員モニタリングソフトウェアは活動データを収集・分析し、生産性の傾向、勤怠、アプリケーションやインターネットの利用状況などをグラフや統計として表示します。高度なツールには、従業員の画面をリアルタイムで確認できるライブビュー機能などもあります。CleverControlには画面録画機能もあり、必要なときに過去の業務状況を詳しく振り返ることができます。例えば、通常とは異なる活動を確認したり、特定のワークフローを詳しく分析したりする場合に役立ちます。
従業員モニタリングソフトウェアを活用すれば、管理者の時間と労力を削減できます。パフォーマンスや勤怠に関するレポートを手作業で確認する代わりに、必要な統計をすばやく確認できます。幅広い機能と分析能力を備えているため、単独のパフォーマンス管理手段として利用することも、他の方法と組み合わせることも可能です。例えば、収集した情報を定期的な人事評価の参考資料として利用できます。また、品質や効率に関する指標を収集し、エンゲージメントの傾向を把握する際にも役立ちます。
従業員モニタリングソフトウェアを導入する際には、透明性とプライバシーへの配慮が重要です。目的に必要なデータだけを収集し、適用される法令や社内規程に従って運用する必要があります。日本の個人情報保護委員会は、従業員に対するオンライン等のモニタリングを行う場合、目的をあらかじめ特定して社内規程などに定め、従業員に明示すること、責任者や権限を定めること、運用ルールを策定することなどを留意点として挙げています。モニタリングの目的と方法を明確に説明することは、不必要なプレッシャーや信頼関係の悪化を防ぐためにも重要です。
タスク管理ソフトウェア
タスク管理ソフトウェアも、パフォーマンスを把握するために役立つツールです。従業員モニタリングソフトウェアが全体的な活動、アクティブ・非アクティブ時間、業務上の中断などを把握するのに対し、タスク管理ツールは特定のプロジェクトや業務に焦点を当てます。
タスクの進捗状況を確認することで、問題を早期に発見し、必要なサポートを提供できます。従業員がタスクを完了するまでにかかった時間や進捗を確認し、期限の遵守状況も把握できます。また、一人ひとりの仕事量を確認してチーム内で適切に再配分したり、高い成果を上げている従業員やサポートを必要としている従業員を把握したりすることもできます。
タスク管理ソフトウェアは、量、品質、効率に関するパフォーマンス指標の収集に適しています。最大限に活用するには、従業員ごとに明確で達成可能な目標を設定し、進捗を確認しながらタイムリーにフィードバックを提供しましょう。
同僚による評価
同僚評価とは、従業員のパフォーマンスについて一緒に働くメンバーからフィードバックを得る方法です。管理者や部下からの評価を補完し、異なる視点からパフォーマンスを理解することができます。また、同僚が評価プロセスに参加することで、従業員自身がより尊重され、組織への参加意識を感じる場合もあります。
率直なフィードバックを得るためには、必要に応じて匿名性を確保し、対象となる従業員の職務に関連する具体的なスキルや行動に焦点を当てることが重要です。
自己モニタリング
従業員自身をパフォーマンス評価に参加させることも有効な方法です。責任感を高め、エンゲージメントを促し、管理者とは異なる視点を得ることができます。従業員は、自身の成果、業務、同僚との関係、懸念事項、改善案などについて考えを伝える機会を得られます。
自己モニタリングは、自分の強みと弱みをより深く理解する助けになります。また、自分自身で進捗状況を確認し、必要に応じて行動を調整することで、目標達成に向けた意識を維持しやすくなります。
従業員のパフォーマンスをモニタリングする最適な方法とは?
最適な成果を得るには、企業固有のニーズに合わせて従業員パフォーマンスのモニタリング方法を設計することが重要です。さまざまな手法がありますが、多くの場合、一つだけに頼るのではなく複数の方法を組み合わせることが効果的です。
定期的な人事評価、個別チェックイン、従業員モニタリングソフトウェア、タスク管理ツール、同僚評価、自己モニタリングを組み合わせることで、従業員の成長を支援し、良好な職場環境を促進しながら、企業全体の成果向上につながる包括的な仕組みを構築できます。




